今朝、玄関を掃除していてふと思い出しました。
おそらく、使っていた箒がきっかけです。
小学6年生の3月。
謝恩会を控え、全員で体育館を掃除していた時です。
私はモップで壇上を掃除していました。
と、そこへ教頭先生がいらっしゃいました。
教頭先生とは一度も言葉を交わしたことはありません。
ふと好奇心を掻き立てられ、
私は教頭先生の目をじっと見ながら、こう言いました。
「演台の上も、モップで拭いちゃおうかな」
良いわけがありません。でも、試しにそう言ってみました。
教頭先生、なんて言うかしら。
教頭先生が、私をじっと見返しました。
やや、あってから静かに、
「おまえは雑巾で顔を拭くのか?それと同じだぞ」
そうおっしゃいました。
とても恥ずかしく思いました。
親に申し訳ないような気持ちにもなりました。
自分はなんて浅はかな人間なんだろう、とも思いました。
私は小さく会釈して、またモップで床を拭き始めました。
教頭先生は他の生徒のところに歩いて行かれました。
こたえました。胸にずしん、と響きました。
そして、さすがだな、と思いました。(生意気ですが)
大人を試す行為は、その時が最初で最後です。
あの時、教頭先生があの叱り方をしてくださらなかったら、
あの後も私は、大人たちを心の中で見くびり続けていたかもしれません。
反抗期のあの時期、上手に叱る大人に出会えたことは、とても幸運でした。