いつの頃からか「”怒る”と”叱る”は違う」という言葉が聞かれるようになりました。
広辞苑では、
「怒る」
1.不愉快不満を感じて気持ちがあらだつ。また、その気持ちを表に出す。腹を立てる。いかる。例)怒ってなぐりかかる。
2.叱る 例)親に叱られる。
1.不愉快不満を感じて気持ちがあらだつ。また、その気持ちを表に出す。腹を立てる。いかる。例)怒ってなぐりかかる。
2.叱る 例)親に叱られる。
と、怒ると叱るを同義語として記述しています。一方、「叱る」は、
「叱る」
(目下の者に対して)良くないことであると強く注意し、厳しく言い聞かせる。例)子どもを叱る
(目下の者に対して)良くないことであると強く注意し、厳しく言い聞かせる。例)子どもを叱る
と、その対象や表現方法についても記述しています。
では、アンガーマネジメントではどう捉えているか? アンガーマネジメントでは、怒る”と”叱る” を区別していません。怒ることは、悪いことではないからです。
「怒ると叱るは違う。怒るのではなく叱りましょう」という言葉の背景には、怒る=悪 という思い込みがあります。怒りは、動物が身を守ろうとする時に生まれる感情、大切なものを守りたい時に生まれる感情ですから、怒ることは悪いことではありません。
アンガーマネジメントでは、怒る必要のあることは上手に怒れるようになることをめざします。その対象は、目下の者だけでなく、上司、教師、親、先輩、友人も含みます。そして、怒る必要があり、かつ、それを伝える必要があると線引きしたら、それを相手に上手に伝えます。(伝える必要はないと自分が思うなら、伝えない選択をします。ここでは自分なりの基準で選択することが重要なのです。)
アンガーマネジメントの「怒る」は、相手を限定しませんし、厳しく言い聞かせることもしません。自分の正しさを相手に押し付けるようなことはしないのです。そして、「叱る」よりも、もっと広く、相手を気遣い、しかし、しっかり自己主張します。だから、アンガーマネジメントができるようになると、お互いを大切にし、理解を深め合うことができるのです。