意見がないのではなく

大変恥ずかしい話ですが、思い切って書きます。

息子は温和な性格です。
私の実母がとても穏やかな人だったので、おそらく隔世遺伝なのだと思います。
しかし、その温和さが、私にとっては苛立ちの1つでした。
覇気がない!と思っていたのです。

息子が小学5年生の時です。
片付けができていないとか何か、そんなことだったと思います。
いつものように厳しい言葉で息子を責め立てた後、私はこう言いました。

「どうして何も言い返さないの?ここまで言われて悔しくないの?」

すると息子は、静かにこう言い返しました。

「どうせ何を言ったって、ママは、最後は自分が勝たないと気が済まないんでしょ。
だから何を言っても無駄なんだ」

よく漫画で見る「がーーーん」という状態になりました。

確かに、何か言うことはないのかと聞いておきながら、
私の頭の中は戦闘用意、論破する前提で息子の言葉を待っていました。
息子は、それを見抜いていたのです。

「昔からそうだよ」

10歳の子どもが言う「昔」とは、物心ついた頃からでしょうか。
この人には何を言っても無駄なのだと、
幼い頃から息子は私に対してそう思っていたのか。
一気に力が抜けて、しゅんとした気持ちになりました。

「本当にそうだね。ママ、自分が勝たないと気が済まないよね。
よく考えたら、そんなに散らかってるわけでもないのにね。
ママ、何でこんなに怒ったんだろう。ごめんね。」

自分もソファーに座り、気づいたらそんなふうに言っていました。

この頃、まだ私はアンガーマネジメントを始めて1年目。
今、自分が息子にしていること、これまで息子にしてきたこと、
また自分自身についてもまったく理解ができておらず、
この後も、私は息子の心を傷つけ続けることになります。

今では、私にも夫にも臆せず自分の意見をはっきり言う息子。
言わないのは、意見を持っていないからではないことを、
私のこの日、初めて知ったのです。

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